重力ピエロ

伊坂幸太郎さんの重力ピエロ

 

出だしの文章と終わりの文章が全く同じという、

読んでみてびっくりした作品だった。

 

読んでいると、ラッシュライフとのつながりが出てきたりして、

続けて読みことで楽しめる部分もある。

 

重力ピエロ、泉水と春がサーカスを家族で見に行った時に、

ピエロが空中ブランコをする。

そのときに春がピエロのおどけた演技や危なっかしさから、

落ちてしまうんではないかと心配し、お母さんに話す場面がある。

 

その時お母さんは、

「ピエロはあんなに楽しそうにしているんだから、

落ちることなんてないよ。

だって楽しければ重力だってなくすことができる。」

 

この言葉で泉水と春の落ちるのではないかと思う、

心配はなくなった。

 

この重力というのは地球にある僕たちが立っていることに必要なことを

さしている。

 

ただし、この作品においては春の出生の話や、

そのことに対する周りの目などを含めての重力という表現にしていると思う。

 

「楽しければ重力だってなくすことができる」

この言葉は、生きていく中で苦しいことや、

つらいことがあった場合もある。

ただそれを笑顔で楽しむことができれば、

その重力から解放されて自分のやりたいように

楽しく生きていける。

 

そんな励ましの意味もあるように思えた。

 

 

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)